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ドクターコラム

インプラント治療の歴史

近代において、失った歯の代わりになるものとしてのインプラント(人工歯根)は、約半世紀前から様々な材質や形状のものが試されてきました。しかしながら、当時から使用されて現在まで科学的根拠に基づく生体親和性が認められ、実際に機能しているインプラントは、純チタン製で歯根形状タイプのインプラントシステムだけです。

1952年スウェーデン・イエテボ大学の医師であったブローネマルク博士(Prof. Per-Ingvar Branemark )は血液循環の基礎研究中偶然、動物の体内(骨内)に埋め込んだチタンが骨と結合(取れなくなるほど強く固定された状態)することを発見しました。

そしてブローネマルク博士は、この発見を人体にどうすれば有効に活用できるかという研究を続けられて、歯科への応用を考えました。以降、13年間に渡る基礎研究の結果、人体(骨内)に埋入された”異物”である純チタン製の人工歯根(デンタル・インプラント)が、臨床的には無症状な状態で顎骨内にしっかりと固定され、かつ生理的に歯として機能している状態になり、約3~6カ月後には完全に骨と統合(結合)するという結論を得ることができました。この現象をオッセオインテグレーション(Osseo integration)と名付け、学会で発表され、全世界に広まっていきました。

そして、ブローネマルク博士による長期に渡る慎重な基礎研究を経て、1965年にスウェーデンで初めて人への臨床が行われました。世界初のインプラント治療は、歯をすべて失った患者さんの下顎に4本のチタン製インプラントを埋入して約1.5カ月後に歯を装着して咬合機能を回復するというものでした。
世界初のオッセオインテグレーションタイプ・インプラントは、その患者さんがお亡くなりになった2007年1月まで41年以上機能することを実証し、ブローネマルクシステム(ノーベル・バイオケア社)のインプラントを全世界に広めるとともに、世界中の歯を失った人々を救ってきました。
その後も更に研究開発が進み、歯の部分欠損や単独歯欠損、審美部位にまで臨床応用され、現在では、骨伝導補聴器や関節のジョイントとしてなど医療分野にまで応用されています。

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